創業5年で5兆円企業になったUberって何?革新的サービスに迫る!
創業からわずか5年のUberが評価額約5兆円
ライドシェアサービスのUberが、評価額約4.8兆円(400億ドル)で1500億円(12億ドル)を調達したと発表されました。この資金を使ってアジアでビジネスを拡大するとされています。4.8兆円の企業価値は、日本の上場企業の時価総額と比べるとTOP15に入る規模です。
ソース:Uber Confirms New $1.2B Funding Round At $40B Valuation
創業は2009年
Uberは2009年に創業されており、まだ6年経っていない段階で5兆円の企業価値を実現している。また同社は6月にも資金調達を行っており、そのときの評価額は、1.7兆円(170億ドル)であったので、半年で2.5倍の企業価値になったことになります。
上場を迎えるときには10兆円という観測も
ニューヨークの調査会社・CB InsightsのAnand Sanwal氏は上場するときには約10兆円程度になると予想しています。
ソース:At $40 Billion, Uber Would Eclipse Twitter and Hertz
Uberってどんな会社・サービスなの?
この急激に成長しているUberですが、なんでそんなに大きくなってんの?と感じた方も多いかと思います。 Uberのビジネスを見ていきましょう。
*領収書が乗車後メールで送られてくる。
1:スマホからタクシー・ハイヤーを呼べる
Uberはスマホから、タクシーやハイヤーを呼べるサービスです。(日本でいう二種免許を持ってないドライバーもいるので厳密にはタクシーとは少し違いますが。)
従来のタクシーとの違いは
- アプリから自分の現在地に車を呼べること…スマホ普及で可能になったことですね。Uberの創業時期(2009年)はスマホ普及が背景と言えるでしょう。
- 支払いが簡単…クレジットカードの番号をアプリに登録しておくことで自動で引き落とされ、領収書は乗車後にメールで送られてくる。
- ドライバーは個人…Uberの従業員ではなく、Uberに登録してドライバーとして働いている個人事業主
- ドライバーが親切…乗客からの評価が毎回付き、低いドライバーはアカウント停止されるため、ドライバーが親切です。
- タクシーより安い…UberXというUberの中の最も安いサービスは、タクシーより安い
などがあげられます。
そもそもタクシー(特にアメリカ)は、
- 英語が話せないドライバーがいる
- 態度が悪い
- ぼったくりがある
- クレジットカードが使えないときがある
- つり銭を切らしている車もある…日本でもありますね
などタクシーが不便ということもあり、爆発的な広がりを見せました。
2:ドライバーが個人事業主。Uberは手数料ビジネス
Uberで運転しているドライバーは個人事業主であり、Uberはアプリを通じて、乗客とドライバーをマッチングさせています。 この乗客を紹介するということで、ドライバーの売上から20%程度の手数料を取っています。
3:250都市50か国で利用可能
Uberは急速に営業地域を拡大させています。現在は250都市50か国で営業しています。1年前は60都市21か国だったそうで、数倍に増えています。
4:似たようなサービスもたくさん
Uber自体も急激に成長していますが、LyftやSidecarといった似たようなサービスも登場しています。(ライドシェアリング等と呼ばれている。)また、配車アプリを導入するタクシー会社も増えています。
問題や課題も
絶好調のUberですが、もちろん課題や問題もあります。
1:営業許可や規制
Uberはタクシーという規制の強い業種と競合しているので、規制も問題となります。各都市、各国異なる規制を持っているのですが、大まかにいうと、
- タクシー免許(日本でいう二種免許)
- 営業許可が問題になっています。
しかし、Uberやその類似サービスに対する新しい規制をつくっている行政の例もあります。 例えば、米カリフォルニアでは、Uberに過去に営業停止命令が出ましたが、最終的にはタクシー免許を持っていないドライバーでも保険に加入するなど一定の基準を満たすことで、営業ができるようになりました。
ソース:Ubercab, Now Just Uber, Shares Cease And Desist Orders
ソース:A Day After Cutting A Deal With Lyft, California Regulator Reaches An Agreement With Uber As Wel
2:労働の問題
また、Uberがドライバーの収入が下げすぎているということも問題となっています。
先ほど、Uberのドライバーは個人事業主と書きましたが、料金はUber側が決めます。また、Uberが徴収するコミッション(20%)もUber側が自由に変更できます。売上から、Uberに支払うコミッション、ガソリン代、保険代等を引いた額がドライバーの収入となります。
料金とコミッションはUberが決められる上、ガソリン代、保険代等は営業のための固定費(ある程度の変動はありますが)ですので、Uberは実質的にドライバーの収入をコントロールできます。
実際、Uberは料金値下げやコミッション率の引き上げ等を行っており、それに対するストライキや抗議なども起きています。
しかし、Uberの他にも類似サービスがあるので、もしあまりにドライバーの収入を下げれば、ドライバーはUberを辞め、他の会社に移ってしまうので、今後Uberも極端にドライバーの収入を下げることはできないでしょう。
ソース:Uber Just Caved on a Big Policy Change After Its Drivers Threatened to Strike
ソース:The Sharing Economy’s ‘First Strike’: Uber Drivers Turn Off the App
3:何かと叩かれるビジネス慣行
Uberで起こった事故であったり、批判したジャーナリストに対する対応が望ましくないとされ、よく批判されています。 以下のtechcrunchの記事には過去のトラブルがまとまっています。
ここまで高い評価額で大量の資金調達を行っていれば、投資家のためにIPOは避けて通れません。IPOが近づくにつれ、こうした問題をUber自ら減らしていく努力をするだろうと考えられます。例えば、Uberは合法化のために、政治家や行政の経験者を採用しています。
日本でUberはどうなる?
(画像はUberHPのスクリーンショット)
日本でもUberは営業しています。しかし、既存のタクシー会社と協力しサービスを提供するという形にとどまっています。これは日本では二種免許の必要性や営業許可の関係などから、普通の免許しか持たないドライバーが運転するUberXの営業が困難だからです。
もちろんUber側も黙っていないで、この規制改革に向けて動き出すでしょう。実際、Uberでは東京で行政の政策立案に携わったことのある人材を募集しています。この募集要項を見ると、規制緩和を行政側に働きかけていくことが読み取れます。
また、特に東京では車社会でないので、二種免許を持っていない人がドライバーとして働くかも疑問ですし、既存のタクシーの営業効率(その上、日本交通タクシー配車アプリなんかもあります。)も悪くないので、Uberが日本でどうなるか今後に注目です。